「なぁサスケ、ところでさ」
「なんだ」

あれからカカシの部屋に帰ってきた二人は、サスケお手製の「クリスマス鍋」を囲んで
上機嫌でワインを開けた。クリスマスにはチキン、という知識ぐらいはあったサスケは
鍋の材料に鶏肉を使ったが、しかしそれ以上の知識は彼にはなかった。
けれどカカシにもまたクリスマス料理の詳しい知識はなかったから、
特にクリスマスの鍋料理を不思議に感じることもなく、おいしい、と口にしては
サスケを喜ばせている。

「さっき店でさ、『できてるか?』とか『上出来だ』とか言ってたじゃない。
あれってこのマフラーのこと?オーダーメイドなの?」

カカシが先ほどから気になっていたことを口に出すと、サスケはにやりと人の悪い笑みを見せた。
とっさにカカシはしまった、聞くんじゃなかったと後悔する。
サスケがこのような笑い方をする時はろくなことがない。

「実はな」
「…うん」
「もう一つ、プレゼントがあるんだ」
「もう一つ?」

ベッドで開けようと思ってたんだが、とか言いながら包みを出すサスケに
嫌な予感がしてカカシは顔を引きつらせた。なんだ、ベッドって?

「首輪じゃないの!!」
「ドッグ・リングだ」

サスケがそれを取り出した瞬間に、カカシは絶叫してしまった。
ついでに箸を取り落としてしまって、サスケがやめろ、うちは家の嫁の癖に
だらしない、とか何とか小言を言っている。しかしカカシはそれどころでなかった。

「誰がつけんのよ!!」

サスケが銀色の紙袋の中から取り出したのは、高級な皮製の首輪だった。
こんなものをオーダーメイドで作ったのか。無茶苦茶高そうだ。
しかしそれにしても、その首輪はどう見ても、カカシの忍犬用ではなくて
ボンデージ・プレイ用のものにしか見えなかった。幅がやたら広いのだ。

「あんたに決まってんだろ。オーダーメイドだぞ。いくらしたと思ってんだ」
「そんなもんに金を使うな!!」

あのブランド店でオーダーメイドの皮の首輪など、目玉が飛び出るほど高いに違いない。
しかしカカシはそれどころではない。向かいに座るサスケはというと、
らんらんと目を輝かせて嬉しそうにその首輪を眺めている。

「なんで首輪なんかつけなきゃいけないのよ!」
「いいだろ、一回ぐらい…指輪をやりたかったんだが、俺は、指輪を贈る時は
きちんとしたものがいいんだ。結婚用の、一生に一度しか渡せないような…
それはまだもう少し生活が安定するまで渡すことができないから、
今はこっちにしておいてくれないか」
「サスケ…」


その5秒後に『アホかーーー!!』という絶叫と共にカカシの部屋が青白く光った。


でも結局、その次の日にはところどころ色が濃くなってしまった皮の首輪の前で、
仏頂面で拗ねているカカシと、上機嫌で鼻歌を歌っているサスケがいたのだった。


 

 

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Happy Christmas!
Halleluja!