二十一. 可愛いお方に謎かけられて 解かざなるまい 繻子の帯 (イルカカ)
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■イルカ先生の日記 そのA
8月1日
一週間後から俺は3日間の早い盆休みだ。アカデミーの教職員は交代で、
夏休みを2回に分けて取る。2回目の休みは遅い盆休みだから今月下旬に
なるとして、明後日からの休みはもちろんカカシさんとの温泉旅行だ。
7班のシフトもカカシさんの任務も確認して、カカシさん自身にも
確認を取って、彼の今夏の休みも明後日からの3日にしてもらった。
俺と違ってこの3日しか夏の間休みがないカカシさんに、
3日とも俺と付き合わせるのは悪いかなとも思ったんだけど……
でもカカシさんはすごく嬉しそうな顔してたから大丈夫かな。
今日は帰ったら早速旅行の準備をしよう。新しいパンツも
三枚ほど買っておいて、新しい服も買おうかな。
別に太ってないと思うが、今日から家での腹筋を50回増やそう。
楽しみだ。8月2日
昨日は仕事終了間際に立て続けに急な書類処理と怪我人が出て、
結局仕事が終わったのは夜の11時だった。どこの店ももう
開いてねぇよ。なんでこんな時に限って……とは思ったが、
もちろん仕事が最優先だ。任務で負傷して帰って来る忍を見ると
心が痛む。せめてサポートぐらいは万全にしたいものな。
それはそれとして、旅行は旅行だ。今日こそは買い物に行けるかな。
○
7班の任務が終わってカカシさんたちが受付にやって来た。
ナルトが、「カカシ先生、昨日商店街で新しいパンツ買ってた
ってばよ!」と元気のいい大声で俺に報告して、
赤くなったカカシさんにどつかれていた。カカシさんも俺と同じように
旅行を楽しみにしてくれているんだろうか。旅行のために勝負パンツを
買ってくれてたんだろうか。まぁ、どんなパンツでも俺がすぐ
脱がせてしまうけどな。フフッ。なんつって。
これがもし、ただの買い物だったら、まぁそれはそれで悲しいが。
ナルトが久しぶりに「一楽に行きたい」と言ったので、
今日の帰りはナルトと一楽に寄ることになった。
こりゃ今日も買い物は無理だな……まぁいいか。パンツは逃げないしな。8月3日
昨日はナルトとラーメンを食いに行ったらナルトがそのまま
家に泊まりに来ることになって、結局買い物には行けなかった。
でもナルトが家に来るのは久しぶりだったから、俺も嬉しかった。
けど冷蔵庫の中にうっかり潤滑ゼリーを入れたままにしていたから
あせった。あいつは特に気にしていないみたいだったが……
危ない危ない。そのまま今朝はナルトと一緒に出たんだが、
任務終了後に受付来たカカシさんが少しふくれていた。
どうしたんだろう。別にナルトにバラしたりしてないんだけどな。
そう言ったら「分かってます!」と言ってますますふくれてしまった。
あの分じゃ今日誘うのは無理だなぁ。まぁいいや、今日こそ
買い物だ。そういえば米ももうなかったな。まとめて買うか。8月4日
昨日はやっと買い物に行けた。新しいパンツも買ったぞ!
ついでに容器が小さめのゼリーも買ってきた。荷物がかさばると
困るしな。それにしても今日は暑いなぁ。あ、俺汗くさくないかな。
自分じゃ分かんないんだよな……今までは特に気にしたことも
なかったけど、俺汗よくかくからなぁ。任務の時は特に
匂いのないように気をつけるけど、受付なんかにいる時は
そこまで神経質にやらないからな。
カカシさんはいつも無臭だ。忍者だから当たり前だけど。
汗もあんまりかかないみたいだ。それなのにその体が風呂上りに
いい匂いするのがたまらん。カカシさん、今何してんのかな。
まぁ7班で草刈り任務だけど。草刈ってんのかな。そりゃそうだ。
早く休みにならないかな。8月5日
今日は珍しく俺が護衛任務に駆り出された。珍しい。指名だった。
大名の奥方の護衛任務だったが、奥方がやたら俺に触ってくるので
参った。暑いからあんまり触らないでほしかったが。
帰ったらカカシさんが遊びに来てくれた。冷奴と蕎麦とビールの
夕飯を出したら、嬉しそうだったのに、俺に近付いた途端
不機嫌になってしまった。どうしたんだ、この間から……
挙句「早く風呂に入って匂い落として下さい!」ときつく言われ
風呂から上がったらカカシさんはいなかった。凹む。
俺そんなに汗くさかったか!?一昨日、強力デオドランドの
スプレーも買ってきたのに……効いてなかったのか。
なんかこないだからカカシさんといちゃつく時間がない。
まさか嫌われてないよな。旅行、大丈夫かなぁ……8月6日
今日は受付に行ったら、朝一番にカカシさんが来てくれて昨日のことを
謝ってくれた。うなだれてしゅんとして「ごめんなさい」だって。
怒ってます?と言われたけど怒ってるわけないじゃないか。凹んだけど。
でも昨日の俺はそんなに汗くさかったのかと思って
「そんなに汗くさかったですか?」って聞いたら、違いますよ!と言って
こないだみたいにふくれていた。何なんだ。
でも汗の匂いじゃなかったのか、良かった。
話題を変えようと思って「明後日、楽しみです」って言ったら
カカシさんもへにゃっと笑って「俺も」と言ってくれた。
そのままキスでもしたかったが、隣にいる三代目が微妙に引いていたので
我慢した。早く明後日にならないかな。8月7日
いよいよ明日だ!楽しみすぎてたまらない。
相当浮かれていたらしく、同僚や火影様がブキミそうに
俺を見ていた。7班の面々も明日からの休みに嬉しそうだった。
さ、俺も今日は早く帰って荷造りをしないとな!
8月8日
待ちに待ったカカシさんとの旅行だ!
俺も私服だったが、彼も私服だ。黒い半そでシャツに細身のジーンズの
カカシさんはものすごく格好いい。惚れ直すなぁ……。
俺はというと、こないだ買ったTシャツをおろしたんだけど、
暑すぎて腕まくりしてしまった。ランニングシャツ状態だ。
でもカカシさんは「腕まくりが似合いますねぇ」って言って笑っていた。
あんまり嬉しくないな。カカシさんもどうですか?って言ったら
笑って俺は遠慮しときます、って言ってたけど、よく考えたら
カカシさんの腕には暗部の刺青が入っているんだ。腕まくりなんか
できないよな、俺のバカ。ちょっと切なくなってしまった。
○
折角だから温泉へは電車に乗って行った。カカシさんは数年ぶりに
乗るそうで、「旅行っぽいですね」って嬉しそうだった。
かわいいな、チクショー。急行の席に座ってから、旅行カバンを
膝に置いて、その下でそっとカカシさんの手を握ってみた。
強い力でカカシさんが握り返してくれた。幸せだ。
○
宿に着いたら、これがまた結構いい宿だった。そういえば、
アカデミーの打ち上げの幹事は最近彼女ができたんだったな。
ビンゴが出なければ自分で行くつもりだったな、これは。
早速温泉に入ることにした。カカシさんは腕の刺青を見えないように
何やら塗って消している。耐水性なのかな。
○
カカシさん、色白いな……しかも湯に浸かってほんのり
赤くなっている。たまらん。というか、こんな昼間っから
入りに来たから、露天風呂には誰もいない。すごくいいムードだ。
大体二人っきりになるのも、久しぶりだ。思わずキスしてしまった。
カカシさんは抵抗しない。
………………
○
どうしよう、止まらないぞ。誰も来ないよな。
ゼリーの代わりって、石鹸でも大丈夫かな。
カカシさん、ごめんなさい
○
いかん、のぼせそうだ。この一回で……
○
露天風呂で三回も事に及んでしまった。何てことだ。
案の定カカシさんは湯当たりしてぐったりしている。
俺は今一生懸命団扇で扇いでるんだが……
「ごめんなさい」って言ったら「幸せだからいいです」
だって。うぅ、かわいいなぁ……
それにしてもカカシさんは浴衣が似合う。こう、ぐっとくるな。
やらしくて。だらしなく着るから胸元なんかがはだけていて
たまらん。
○
夕飯の頃にはカカシさんも復活して、お互い差しつ差されつしながら
刺身や山菜を楽しんだ。ほろ酔い加減でいい気分だ。
酒も料理もおいしいし、目の前のカカシさんは可愛いしで、……。
カカシさんをじっと見つめたら、無言で見つめ返してくれた。
ちょっと目が潤んでいるような気がするのは酒のせいだろうか。
○
カカシさんの浴衣の裾を割ると、太腿にさっき俺がつけたキスマークが
あった。そこを吸うと、カカシさんが細い声を上げて足を
閉じようとする。ダメですよ、と言って乳首を捻ってみると
また小さな声を上げて目を潤ませている。
○
浴衣のままって一回やってみたかったんだ。男のロマンだ。
カカシさんの浴衣を腰まで捲り上げて、後ろから抱き込んだ。
ちょっと乱暴な気分になったけど、堪えて優しく挿入しながら
カカシさんの髪を撫ぜた。カカシさんが浴衣着たままブルブルしてて
かわいい。カカシさんもさっきよりきつい気がする。…………。8月9日
昨日は結局夜に2回やった。風呂のと合わせると5回…。…………。
ちょっとやりすぎたか……。お互い体力があるもんだから
止まらなかったな。でも今日カカシさんは腰が辛そうだ。
昼間は近所を散歩でもしようかと思ってたけど、無理だな。
ごめんなさい、と言ったら、付きっ切りで看病してくれるなら
いいですよ、だって。するに決まってるじゃないか。
当たり前だけどカカシさんは今も浴衣だ。ちょっとぐったりしてて
色っぽい。でも夜まで我慢しないとな。夜には復活して下さいね。
○
今日も露天風呂に行こうと言ったら、「行けるわけないでしょ!」と
睨まれた。何でだ、と思ったら無言で体中のキスマークを指された。
あ、そうだった……昨日全身につけちゃったからな。参ったな。
「ごめんなさい。じゃあ今は内湯にして、誰もいない時間見て
また露天風呂に行きましょう」って言ったら赤い顔で頷いていた。
かわいい。でも内湯は狭いから一緒には入れない。残念だ。
○
今日の夕飯も豪勢だった。でも天麩羅が出て、カカシさんは
苦手だと言って残していた。こんなに旨いのに勿体ないな。
カカシさんはだいぶ復活しているようで、酒もよく飲んだ。
俺はあまり飲み過ぎないように相手をした。飲み過ぎると勃たなく
なるからな。なんか俺こればっかりだな。でも目の前の人が
色っぽいから仕方ない。今もカカシさんの白い頬は桜色に染まって、
少し潤んだ目をしている。いい雰囲気だ。
○
押し倒したけど抵抗されない。もう大丈夫なのかな……
すいません、失礼します
○
二回目、カカシさんの手を浴衣の帯で縛ってみた。えぇ、ちょっと、
これはなかなか……。カカシさんは嫌がってるけど、本気では
抵抗していない。どうしよう、すげぇそそる
○
あっしまった、カカシさんが気絶してしまった
○
ていうかゴムなくなったよ。マジで?俺。
○
気の付いたカカシさんに「ヤリすぎです!」と怒られた。
すいません。でもカカシさんは赤くなっててあんまり怖くない。
とりあえず、もう夜中だから、露天風呂でさっぱりしようと
いうことになって俺がカカシさんを背負って行った。
行ったっていうか、瞬身の術で移動したんだけど。見られたら困るし。
露天風呂は誰もいなかった。ホッ。カカシさんの体を洗ってあげると
言ったら断られた。いや、もう変なことはしないけど……
なんか体に力入ってないみたいだけど、大丈夫かな。8月10日
昨日、一昨日とカカシさんと二人っきりで思い切り抱き合って、
ものすごく幸せだった。飯も美味かったし、風呂も良かったし、
そんなところに好きな人と二人きりで、ずっとイチャイチャして
ものすごく幸せだ。今日もう帰ってしまうのが残念だ。
すごく、早かった。名残惜しい気分になって、ずっとカカシさんに
触れてはキスをしていた。カカシさんも同じようで、カカシさんからも
何回も俺にキスをしてきた。また来ましょうねって百回ぐらい言った。
最後に風呂に入ろうかとも思ったが、カカシさんが部屋でもう少し
こうしてたいと言うのでやめた。昼にはチェックアウトか……。
帰り、また電車の中で手繋いで帰りましょうって言ったら
カカシさんが笑顔でうん、そうだねって言った。8月11日
帰って来てしまった。休みも終わった。
なんか、ほんとに幸せだった……。今もほわんとしている。
同僚に肌の艶がいいなと言われた。そうか?
今日も、カカシさんは7班を引き連れて受付にやって来た。
端から見たらいつもと変わらない顔だが、実は少しはにかんでいる。
かわいい。つーかもう愛しい。
そうだ、今度花火大会があるんだよな。誘ってみようかな。
それでまた、旅行も一緒に行きましょうね。-------------------------------------------------------------------------
end (2006.5.16)