■温泉旅情(16×30)



「温泉?」
「そうだ。おい、魚焼けたらどうする、塩かレモンか」
「塩がいい」

あんたは魚の食べ方がきれいだからいいな、などと言いながら、
サスケは魚を調理用の網に乗せた。
カカシはというと、手渡された旅館案内のちらしと宿泊券を凝視している。

「えー…ここって…」
「一泊5万だから割といい宿だぞ。行くだろ?」

下に敷いた炭の加減を見遣りながら、サスケが振り向いた。
ここはカカシの部屋なので、換気扇を回すことも忘れない。
広大なうちはの屋敷とは違って上忍宿舎の一室なので、換気扇を回さなければ
魚の匂いが部屋中に充満してしまうのだ。

「どうしたのさ、こんなの…ここって宿泊券なんか
発行してるとこじゃないでしょ?」

手の中の宿泊券をもう一度見て、カカシが尋ねた。
黎緑館、と書かれた旅館は、確かこの葉隠れの里の外れにある高級旅館だ。
一泊に取る客数もそんなに多くはなかったはず、と
カカシは先日読んだ旅行雑誌の記事を必死に思い出した。

「シカマルのとこのアスマがくれた」

今度の休みは確か揃って連休貰えたんだろ、なら旅行でも行って来い、だと。
あのオッサンもなかなか気が利くとこあるよな。
上機嫌で魚をひっくり返すサスケの言葉に、ははぁ、とカカシは納得して
もう一度チラシを見た。
ということは、アスマの家に贈られる株主優待券みたいなもんなんだろう。
あんなヒゲクマでも一応猿飛家の嫡男だ。猿飛家といえば名家だし、
温泉宿のひとつやふたつ、持っていてもおかしくはない。
なぜそれを自分たちにくれるのかはよく分からないが。

「…そっか、そんなら別に遠慮することもないよね」
「そうだ。なんだ、遠慮って」

オレはまたサスケがオレのために頑張って奮発したのかと思っちゃったからさ。
少し悪戯そうにカカシは笑って、サスケの身体に触れた。
お前は変に気を回すからー、オレに気遣わせないように、
自分が買った券でも『貰った』とか言ったりするでしょ。

「そうじゃない。…なんだ、それじゃあんたもそんなオレに
気遣ってたってことじゃねぇか、さっき」

サスケは破顔してカカシを抱き締めた。「ちょっと、魚」とか言いつつも、
カカシは『サスケって笑った顔もいいなぁ、いつもそうやって
笑ってりゃいいのに…でもそしたら今よりもっとモテるのかな。
それは困るな』などと思っている。

「温泉に行って、久し振りにゆっくりしようぜ」

あんたの浴衣姿も見れることだし、早く行きたいな。
サスケはカカシの耳元で熱っぽく囁いて、ついでのように耳を舐めた。
思わず腰を揺らして眉をしかめたカカシに、サスケはまた笑って、
何やら囁きながら器用に魚を皿に上げる。

隣の部屋で、何の不幸なのか前世の因縁か、サスケがカカシの部屋に
来るたびその愛の営みの一部始終を見せられているアスマが、
さっさと行け、今すぐ行けと、呪詛のように口の中で繰り返していた。
サスケとカカシのみならず、アスマまで偶然に休暇の日取りが
重なってしまったこと、
それによってカカシの部屋に入り浸りのサスケが間違いなく休暇中、
隣の部屋でやりまくること、
そうして何の因果か隣の部屋の、しかも雪の降る気配にさえも
瞬時に気付く上忍の自分が、カカシの喘ぎ声から翌朝の睦言まで
全部知らされるハメになるに違いないこと、…
そんな自分を襲う諸々の不幸を予見したアスマが青くなって、
慌てて温泉宿の宿泊券をサスケに握らせたことなど、
隣の部屋のバカップルはちっとも知らないのだった。

木の葉隠れの里のはずれ、ほとんど人通りもなくなった深い緑の中に、
件の旅館「黎緑館」はぽつんと立っていた。

「うーー、いい!」

張り替えたばかりだろう藺草の香りのする畳にごろりと転がって、
カカシがオヤジくさい声を出した。

「もう5時だからな、どうする、食事の前に風呂に行くか?
それとも食ってから入るか」

いつもならだらしなことはやめろ、と小姑のように小言を言うサスケも、
柔らかい目でカカシの頭を撫でたりしている。
カカシはというと、『そうだねぇ〜…』と言いながら、考える気があるのかないのか、
頭を撫でられて猫のように目を細め、サスケの膝にすり寄っている。
実際、この旅館は外観といい内装といい、申し分なかった。
部屋まで渡って来た廊下にはすのこが敷かれ、
温泉宿らしい佇まいを演出している。
廊下の片端には大きめの石と小石が敷き詰められ、
等間隔で小さな雪洞が淡い光を灯している。
部屋は新しい畳ですっきりと彩られており、掛け軸の趣味も
生け花の趣味も悪くない。
少ない客室はひとつひとつが離れのように建てられていて、
覗く庭には小さな池があった。
幼い頃から趣味の良い、いいものばかりを見せられて育ったサスケにも
文句なしの宿だと言えた。
何よりもサスケが気に入ったのは部屋の内湯だ。
各部屋に、貸し切りの小さな露天風呂がついており、今サスケが
座っている部屋の中からもその乳白色の湯の色が見えた。
周りは板塀で仕切られていて、外からはまったく見えなくなっている。
露天風呂の側に植えられている木々の間から、据えられている洋燈の淡い光が
漏れ出ている。
はっきり言ってムード満点だ。しかも貸し切り。
ここで、風呂エッチをしなくてどこでするんだ。

そんな若い胸の内を格好の良い顔の中にしまっておくびにも出さず、
サスケは相変わらずカカシの頭を愛おしそうに梳いた。
大浴場は古代檜らしいぞ、今から行っとくか、などと言いながら。

「あーーいいお湯だった!」

濡れた髪の毛をタオルで拭きながら、カカシは上機嫌な声を出す。
隣にいるサスケも、そうだな、と珍しく素直に同意していた。
結局夕食よりも先に大浴場に入った二人は、日頃の疲れを癒すべく
のんびりと湯に浸かった。
元々の宿泊客数が多くないせいもあり、浴場にはカカシとサスケしか
いなかった。
けれど、誰が入ってくるかも分からないところで事に及ぼうとすると、
カカシはえらく機嫌を損ねるので(こういうところだけ何故かカカシは常識的だ)
サスケも大人しく風呂に浸かることにした。
今ここで機嫌を損ねられて、部屋の、あのラブホのような貸し切り露天風呂で
好き放題ができなくなるのはあまりにも惜しい。
そんな不埒な思いを置いておいても、緑の木立の中しんとした空気を吸い、
静かに湯に浸かっていると何か厳かな気さえしてきて、
サスケの元気な息子も静まってくる。
サスケは大人しく身体を癒されておくことにしたのだった。


「にしても、あんた浴衣似合うな」
「えーそう?サスケのほうが似合うと思うよ」

いい男五割り増し、いやあんたのほうが似合う、などとアスマが聞いたら
『温泉へ行かせて本当に良かった』と青ざめかねない惚気の応酬を互いに始め、
カカシとサスケは相手の浴衣姿を褒めた。
客室備え付けの浴衣は旅館名が刷り込まれているような無粋なものではなく、
紺色の高級生地を使った普通の浴衣だった。
男二人、と伝えてあったため、ひとつは黒っぽい濃紺、
ひとつは群青に近い明るい紺、と違った色合いで用意されている。
黒に近い紺をサスケが、明るい紺をカカシが着た。

「あんた色が白いからな、紺色が映えるな」

初めて見たカカシの浴衣姿を先ほどから飽かずに見つめ続けているサスケが言う。
カカシの元々色の薄い肌は、風呂に入ったことで上気して
胸元が少し桃色になっている。
サスケはそこを一点集中で見てしまいそうになり、
いかんいかん、などと思いながら、しかし結局カカシを見つめ続けている。
カカシはというと、まぁ同じような状態だった。
普段色気もへったくれもない格好をしているサスケが、
(本当に、なんでそれだけの顔を持って生まれながら
そこまで服に興味がないんだと思えるほど、サスケの普段着はそっけない。
選ぶのが面倒くさいと言っては、同じ無地のシャツばかりまとめて買って、
それを順に着たりしている。サスケの頭の中には『修行』と『その他』の
カテゴリーしかないに違いない、と、常々カカシは思っている)
そんなサスケが、浴衣を着ている。それだけでも新鮮なのだが、
これがまた腹が立つほどに似合う。漆黒の髪と黒曜石の目、
それは黒っぽい浴衣に不思議なくらいしっくり馴染む。
カカシのことを白いというが、サスケの肌だって白い。
色の濃い浴衣から覗く白い腕や足に、図らずもカカシはドキドキしてしまった。
お互いに相手の浴衣姿に見惚れては、思い出したように
髪乾かしてあげようか、いやそれよりもあんたの髪の方が濡れてる、
などと声を掛ける。
けれど結局、夕食を部屋に運んで来た仲居が部屋の襖を開けるまで、
互いの視線は甘く互いの身体を滑っていったのだった。


「うまかったな」
「うん、これはほんとに来て良かったねぇ」

アスマに感謝だな、とアスマの胸中も知らずカカシは満足そうに箸を置いた。
山の幸を中心とした会席料理をつまみながら、少々の酒も飲んだカカシの頬は、
先ほどの湯上がりのようにほんのりと上気している。
「あまり飲み過ぎるな」と止めたサスケにカカシは頬をふくらませたものの、
「せっかく内湯の露天があるんだから、浸かりながら飲めるように
今はほどほどにしとけ」と言われて上機嫌で猪口を置く。
一方のサスケはというと、行儀良く箸を動かしながらも
その視線は行儀悪いことこの上ない。
向かいに座るカカシが悪いんだ、さっきあんなにきっちり着付けてやったのに
もうそんなに崩しやがって…自分に言い訳しながらも、
サスケの目線は着崩れた浴衣からだらしなく覗くカカシの胸元をさかんに滑る。
カカシの傷だらけの忍の身体は、しかし、サスケにとっては
どんな女の柔肌よりもサスケを欲情させるものだった。

「風呂、入ろうよ」

風呂に徳利の載った盆を浮かべて猪口で一杯、を
やりたくて仕方ないらしいカカシは、膳を廊下に出してきたサスケをせっついた。
布団は敷きに来てくれなくていい、とも伝え置いてある。
これでもう仲居がこの部屋に来ることもないだろう、頭の片隅で考えたサスケは、
「あんた先に入れ、オレもすぐ入るから」とカカシに言った。
カカシが入っている間にさっと一組だけ布団を敷いて、それから
露天風呂でやればいいだろう。そんな不穏なサスケの胸中も知らず、
「布団敷いてから入る」と言ったサスケに
「かいがいしいね〜。オレはいい奥さんを持ったなぁ」などと
アホなことを言ってカカシは露天風呂へ入ってしまった。
ウスラトンカチめ、そんなだから14も下のオレに抱かれるはめになるんだ。
呆れながらも上機嫌で、
サスケはふかふかした羽毛布団を押入から引っ張り出す。
これを汚すのは悪いな、できるだけ気を付けよう、などと思いながら。

「あ、来た来た〜」

ようやく露天風呂にサスケがやって来たころ、
カカシは完全に出来上がっていた。
盆に浮かべてある徳利も、もう中身は空だ。

「なんだ、あんた全部飲んじまったのか?」
「え〜、いいでしょ別に〜。サスケは飲まないだろ〜」

とろんとした目でカカシが言う。湯の中で酒を飲むと、
普通以上にまわる。あまり飲み過ぎると眠ってしまうカカシに、
サスケはそれだけはさせるものかと早速、湯船の中でさりげなく身体を寄せた。

「そりゃ、別にオレはいらねぇけど…
金木犀の香りがするとか言ってなかったか」
「あ、そうそう〜。金木犀かな?なんか似てるからそう思ったんだけど…
なんかー、花の香りのする酒だったよ〜」

のほほんと笑って言うカカシに、サスケはどんなだ、花の種類を当ててやる、と
カカシにキスをした。サスケの舌はカカシの歯列を割り、
カカシの口中を傍若無人に舐めてゆく。
十分に堪能してからサスケが唇を離すと、真っ赤になった酔っぱらいが
肩で息をしていた。

「…なんの花か、わかった?」
「いや、分からなかった」

キッパリと言い切って
「だからもう一回やらせろ」とサスケはまた唇を近付ける。
酔っている時のカカシのガードはいつも以上に緩く、
後ろから抱き込むサスケの腕にも膝を割り開くサスケの足にもまったく反応しない。
キスのあと唇を項に移動させたサスケは、
カカシの項からほのかに香ってくる湯の匂いに反応して真っ赤になった。
う、ちょっと待て、これは、やばい…
しかしよく見るとカカシも真っ赤な顔をして俯いている。
乳白色の湯越しには見えなかった部分をサスケがそっと手で触れると、
カカシのそこも既に熱くなっていた。
気を良くしたサスケは、「大丈夫、オレもだから」と
後ろからカカシの腰に自分の腰を押し付けるという、
全然大丈夫じゃない行動に及んだ。
でもカカシはますます真っ赤になって俯くだけだったので、
もう一度サスケは愛しそうにカカシの項にキスをするのだった。

「え、ちょっと待って、待って、出…、」

先端を握り込まれてカカシが切羽詰まった声を出す。
後ろからカカシを抱き込んでいる男前は「いいから、出しちまえ」と
ぞくぞくさせるような掠れた声で言う。

「え、でもここ、お湯…」
「構わんだろ、内湯っていうのはそういうことだ」

そんなわけあるか!とアスマが聞いたら
青くなって怒鳴りそうなことをさらっと言って、
サスケは握り込んでいるカカシを追い詰めるように擦った。
いつもならもう少し考えるカカシも、今はもう酔いとサスケの愛撫とで、
まともにものを考えることができない。
それでも涙目で我慢するカカシを見遣って、サスケは
バカだな、でも可愛い、とか何とか思いながら

「…じゃあオレがすぐ湯を掻き出してやるから。な?」

と甘い声で囁いた。うん、と言うが早いか、もうほとんど限界だったカカシは、
すぐに湯の中で達してしまった。
まだ涙目で荒い息をついているカカシにサスケが柔らかくキスをすると、
カカシはなおも「お湯…」と言って来る。
サスケは苦笑しながらも
『ほんとに掻き出せてんのか分からんが…まぁフリが大切だ』と、
申し訳程度に湯をすくった。

くったりと身を寄せて来たカカシの後腔にサスケが指を伸ばすと、
カカシはビクリと身体を揺らす。宥めるようにキスをして、
抱き締める左手に力を込めて、サスケの右手はなおもカカシをさぐる。
酔っているせいか、湯の中だからか、そこはいつもよりも柔らかい。
もう十分に力を持っている自分を一度そこに擦り付けて、
溢れている蜜をカカシの入り口に移してから、サスケはゆっくりと
指を潜り込ませた。

「あっ、あ…」
「ん、大丈夫、大丈夫だ…あんた、いつもよりやわらかい、」
「ちがう、お湯、…」

湯が入ってきて気持ち悪い、と訴えたいのだろうが、
カカシの呂律は不鮮明で何を言っているのやらわからない。
サスケはふっと笑って「すぐに気にならなくなるから」と言うと、
悪戯に左手でカカシの胸を触る。
サスケが執拗に指で摘んだり捻ったりを繰り返すので、
カカシのぽつりと尖った突起はぽってりと腫れてきた。
いたい、と声を出したカカシにまたサスケは低く笑って、
今度は自分の熱を根本まで一気に埋めた。
はっ、はっ、と苦しそうなカカシの息づかいが聞こえて、
でもそれにさえ反応してサスケは興奮する。
ああ、外だからかな…と冷静に思いながらも、身体はちっとも冷静ではいられない。
無理に揺すったら、カカシが可哀想だ…とは思いながらも、
カカシの上気した頬と酔ってうつろになった視線は、
サスケを煽るのに充分だった。

「あ、サスケ、ゴム…」
「…あ、忘れた、な…っ、悪い…っ、でもここ、風呂だし、…っ」

ちゃんとすぐ出してやるから。そう言って、サスケは一際強くカカシを穿つ。
悲鳴のような微かな声をカカシが上げて、瞬間締め付けて来たカカシの中に、
サスケは愛しさを思い切り注ぎ込んだ。

ふわふわとした軽い布団の感触に、あれ、と思いながらサスケは目を覚ました。
ああそういえば、旅館に来たんだっけか…。
いつもの自分の固い布団ではなく、裸の肌を滑る絹が気持ちいい。
ふと横を見ると、カカシが拗ねた顔で丸まっていた。

「あれ、あんた起きてたのか…おはよう」
「…オハヨ」

当然のように頬にキスをするサスケに少し赤くなりながらも、
カカシはムスッとしている。

「なんだ?オレ、なんかしたか」

なんであんた拗ねてるんだ。不思議そうにサスケが聞くと、
カカシが拗ねた顔のままサスケの顔を睨んだ。

「なんかじゃないでしょ〜…風呂であんなことすんなよ!」

自分だってやる気満々だったくせに…とサスケは思うが、
まぁ酔っていたし、カカシは覚えていないのかもしれない。
それとも湯の中に出したのをまだ気にしているのかも…
理由がどうあれ、まだあと一泊あるのだからここは早急に
機嫌を戻しておかねばなるまい。
サスケは素早く計算すると、カカシの腰に手を伸ばして
できるだけ真剣な顔を作った。

「悪かった。…浴衣のあんたを見たのが初めてで、すごく似合ってたから…
我慢できなかったんだ」

これは嘘ではない。
カカシはサスケの言葉を聞くと、少し表情を緩めてから
困ったような顔をした。
よし、もう一押しだ。

「でも、あんたが嫌なら、今日は何もしないから…
今日は一日ゆっくりしよう。だから、機嫌を直してくれ」

もちろん嘘だ。
誰ができたての恋人と2泊3日の旅行に来て、
一晩やっただけで帰るというのだ。
じじいの慰安旅行ではあるまいし、今日だってきっちりやらせてもらう。

そんなサスケの胸の内にはまったく気付かずに、
その真剣な顔に騙されたカカシは「えっ」と驚いた声を出した。
まぁ別に、カカシとて本気でそこまで嫌だったわけでもないだろう。
ちょっと拗ねてサスケに機嫌を取って欲しかっただけ、甘えてみただけだ。
カカシだってセックスするのが嫌いではないことを
サスケはちゃんと分かっている。
昨日だって風呂から出て、布団の上でもう一度始めた時も、
カカシはまったく嫌がらなかったし、…

「いや、べつに、そこまで嫌ってわけじゃ…でも風呂の中は…」
「分かった、風呂の中じゃイヤなんだな。じゃあもう風呂の中ではしない」

でも布団の中ならいいか?とサスケは甘い顔でカカシの頬に唇を寄せる。
もうすっかり機嫌を直しているカカシは、とろんとした顔で
しょうがないね〜とか何とか言って、今度は自分からキスをする。

深い緑の中にぽつんと建つ高級旅館の一室から、また甘い声が上がり始めた。
キスの合間に、アスマへの土産は何にしようかと、
サスケとカカシは笑い合う。
それだってもちろん睦言だ、アスマはただの睦言のネタだ。

その睦言のネタであるところのアスマが心安らかな休日に感謝していることも知らず、
恋人達は互いの身体を、朝からまた貪り合うのだった。



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end